スーパーの野菜売り場や家庭菜園の肥料コーナーで、「有機肥料」や「無機肥料」という言葉をよく見かけます。
でも、そもそも野菜が栄養として吸収するのは無機物なのに、なぜわざわざ「有機肥料」を使うのでしょうか?
その答えは、**「微生物の力」**にあります。
植物は無機物しか吸収できない?
植物が成長するためには、**窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)**などの栄養素が必要です。
でも、野菜がこれらの栄養素を吸収できるのは、水に溶けた「無機物」の状態になったときだけ。
例えば、
✔ 窒素は、硝酸態窒素(NO₃⁻)やアンモニウム(NH₄⁺)の形で吸収される
✔ リンは、リン酸イオン(H₂PO₄⁻)の形で吸収される
✔ カリウムは、そのままカリウムイオン(K⁺)として吸収される
つまり、どんなに栄養豊富な「有機肥料」を土に入れても、それが無機物に変わらなければ植物は吸収できないのです。
では、有機肥料を使う意味はどこにあるのでしょうか?
「有機肥料」が意味を持つ理由:微生物の力
有機肥料とは、動植物の残骸や排せつ物などの有機物を含む肥料のこと。
例えば、堆肥・米ぬか・魚かす・油かす・草木灰などがあります。
しかし、これらの有機肥料の成分は、そのままでは植物にとって「食べられない状態」です。
ここで活躍するのが、土壌中の微生物。
✔ 微生物は有機物を分解し、無機物に変える(=鉱化作用)
✔ 分解された無機物が、植物の根から吸収される
✔ 土の中の微生物が豊かになることで、土壌がふかふかに
つまり、「有機肥料」=微生物のエサなのです!
無機肥料 vs. 有機肥料:どちらがいいの?
無機肥料の特徴
✅ 植物がすぐに吸収できる形で提供されるため、即効性がある
✅ 成分が明確なので、狙った栄養をピンポイントで補える
❌ 微生物が少ない環境では、土壌が痩せやすい
❌ 使いすぎると、土の中の生態系が乱れることも
有機肥料の特徴
✅ 微生物が豊富になり、土が健康に保たれる
✅ ゆっくりと分解されるため、長く栄養を供給できる
✅ 化学肥料に頼らず、自然な循環を生み出せる
❌ 分解に時間がかかるため、即効性はない
❌ 施肥のバランスを考えないと、特定の栄養素が不足することも
つまり、短期的な成長を求めるなら無機肥料、長期的に土を育てたいなら有機肥料という使い分けがポイントになります。
土の中の小さな世界が、農業を支えている🌱✨
私たちが口にする野菜は、土の中の目に見えない生き物たちの働きによって育っています。
有機肥料が直接野菜の栄養になるわけではなく、微生物たちの力を借りて、最終的に無機物へと変換されることで、初めて野菜は栄養を吸収できるのです。
農業とは、人間が土と微生物たちの関係を整える仕事とも言えますね。
これから野菜を育てるときや、食べるときには、「土の中の小さな世界」にも想いを馳せてみませんか?
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